2005年11月26日

「Amazing Grace」〜作詞者John Newtonについて〜(あつこ)

大変ご無沙汰しています。アルトあつこです。
「Amazing Grace」は私たちも何度か歌わせて頂いている曲です。
今日は、この曲が作られたいきさつについて作詞者のことを中心に書きたいと思います。

多くの人たちに親しまれ、さまざまなアレンジで歌い継がれてきた「Amazing Grace」。
最近では、本田美奈子さんが亡くなられたことが報道されるとき、彼女の歌うこの曲が何度も流れました。
彼女の美しい声によって、この曲の魅力を再認識された方も多いのではないでしょうか。
だけど、意外とこの曲が作られた経緯については知られていないようです。
この曲の作曲者は不詳ですが、作詞者はJohn Newtonという人です。


John Newtonは、1725年ロンドンに生まれ、いくつかの仕事を経て、20代半ば頃には奴隷貿易船の船長の仕事に就くこととなりました。

乗船中のあるとき、彼は大変な嵐に見舞われ、生命の危機に瀕しました。
沈みかかる船の中で何もかも失うと思われたとき、「神よ!我らに慈悲を・・・!!」と祈り続けるしかありませんでした。
そんなNewtonの願いが聞き入れられたのか、奇跡的に彼らは助かりました。
このときの奇跡的な体験がその後の彼の人生に劇的な影響を与えるきっかけとなり、Newtonは奴隷貿易船の中で、奴隷を労わり人間らしく扱うことに努めるようになりました。
船乗りの期間中にもラテン語を習得したNewtonは、その後もギリシャ語とヘブライ語を習得するなど、勉学意欲が衰えることはありませんでした。

その後、30歳の頃には、Newtonは大病をきかっけに船乗りとなることを諦めました。
この頃までには、いくら奴隷を人間らしく扱うといっても、人を奴隷とみなすこと自体に対する罪の思いがあったのではないでしょうか。
Newtonは、その頃にメソジスト協会の指導者と出会い、後に牧師になることを志すようになります。
実際にNewtonが聖職に就くことが許されたのは、40歳の頃でした。

42歳の頃、Newtonは詩人のWilliam Cowperに出会い、生涯の友となります。
CowperはNewtonが各地で説教を行うのに同行し、Newtonの活動に大きな影響を与えました。
彼らは週の礼拝を開くのみにとどまらず、週ごとに「prayers meeting」を開き、賛美歌を書くことに尽力するようになり、共同で「Olney Hymns」という讃美歌集を作り上げました。
ただし、その中にはこの「Amazing Grace」は収録されていません。
「Amazing Grace」は1770年頃に作られたとされており、週の礼拝で歌い継がれていく中で現在の6番編成となり、後に讃美歌集に収録されることとなりました。

Newtonは45歳の頃にはロンドンのSt. Mary Woolnothの司祭となりました。
そして、奴隷貿易船の船長だった頃の体験やその後の彼自身の経験から得た思いから、奴隷制度がいかに愚かであるかなどについて唱え続けました。
これらの説教は、後に奴隷制廃止論をとなえたWilliam Wilberforceに大きな影響を与えることとなりました。
Newtonは最後には盲目となりましたが、その生涯を終えるまで人々に説教をし、影響を与え続けることを止めなかったのです。


「Amazing Grace」の歌詞には、そんなNewtonの体験から得た思いが反映されています。


   Amazing grace! (how sweet the sound)
   That sav'd a wretch like me!
   I once was lost, but now am found,
   Was blind, but now I see.

   'Twas grace that taught my heart to fear,
   And grace my fears reliev'd;
   How precious did that grace appear,
   The hour I first believ'd!

   Thro' many dangers, toils and snares,
   I have already come;
   'Tis grace has brought me safe thus far,
   And grace will lead me home.

   The Lord has promis'd good to me,
   His word my hope secures;
   He will my shield and portion be,
   As long as life endures.
 
   Yes, when this flesh and heart shall fail,
   And mortal life shall cease;
   I shall possess, within the veil,
   A life of joy and peace.

   The earth shall soon dissolve like snow,
   The sun forbear to shine;
   But God, who call'd me here below,
   Will be forever mine.


★追伸★
 この記事を書くに当たって、いくつかのサイトを参考にさせて頂きました。
 中にはリンクを望まれていないと見受けられるサイトがあるため、
 全ての出典を載せることを控えることにしました。
 お世話になり、大変感謝しています!ありがとうございましたm(_ _)m
posted by うたうららメンバー at 19:18| Comment(3) | TrackBack(0) | 音楽雑学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月19日

【音楽用語解説@】ト音記号などなど(あつこ)

to_he_ha_onkigou.gif

ちょこっとご無沙汰でした。アルトあつこです。
ええと、むかし勉強した音楽雑学を少々(^^;
今回は、ト音記号など楽譜の一番左端についている記号について書いてみます。

音楽好きな方もそうでない方も、比較的なじみのあるのが「ト音記号」(↑の画像の左)。
そして、ピアノでは左手、歌では男声パートなど低音域に使われるのが「ヘ音記号」(↑の画像の右)。

今ではこれら2つがよく使われるのですが、↑の画像の真ん中の記号はご存知でしょうか?
これは、「ハ音記号」と言って、バロック時代の楽譜など古典と言われるものでは極めてよく使われていた記号なのです。
特筆すべきは、この「ハ音記号」は、ト音記号やヘ音記号のようにいつも五線譜の同じ場所に位置しているのとは違い、なんと、自在に上下に動くのですよ!!

「動くのだったら、ドレミの場所が分からなくなるやん!どうやって読むの?」と思ったみなさま、まったくもってごもっともです。
実はこの記号は、ちょうどこの記号の上下の真ん中に当たるところ(上と下に2つ弧を描いている間のとがったところ)を「ド」と読むのです。

ト音記号やヘ音記号のように固定された位置だと五線の部分からはみ出たら、その上下に短い横線をたくさん引いてその音の高さを表すところ、ハ音記号の場合は、記号の方をずらす、というやり方で五線からあまり音符を離れさせないようにした訳です。


なお、「ト音記号」はこの記号の書き始めの場所が「ソ」(日本読みで言う「ト」、英語では「G」)の位置から始まり、「ヘ音記号」はこの記号の書き始めの場所が「ファ」(日本読みで言う「へ」、英語では「F」)の位置から始まるから、そういう名前なのです。
(なお、ヘ音記号の「ファ」の位置は、右横の点と点の間でもあります)

そして、記号の形状も、「ト音記号」は「G」の文字をデフォルメした形、「ヘ音記号」は「F」の文字をデフォルメした形、「ハ音記号」は「C」を2つ積み上げて裏返した形となっているのです。

では、長々と失礼しましたm(_ _)m
雑学のネタがいつまで持つかハラハラのあつこでした(笑)。
posted by うたうららメンバー at 00:50| Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽雑学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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