「Amazing Grace」は私たちも何度か歌わせて頂いている曲です。
今日は、この曲が作られたいきさつについて作詞者のことを中心に書きたいと思います。
多くの人たちに親しまれ、さまざまなアレンジで歌い継がれてきた「Amazing Grace」。
最近では、本田美奈子さんが亡くなられたことが報道されるとき、彼女の歌うこの曲が何度も流れました。
彼女の美しい声によって、この曲の魅力を再認識された方も多いのではないでしょうか。
だけど、意外とこの曲が作られた経緯については知られていないようです。
この曲の作曲者は不詳ですが、作詞者はJohn Newtonという人です。
John Newtonは、1725年ロンドンに生まれ、いくつかの仕事を経て、20代半ば頃には奴隷貿易船の船長の仕事に就くこととなりました。
乗船中のあるとき、彼は大変な嵐に見舞われ、生命の危機に瀕しました。
沈みかかる船の中で何もかも失うと思われたとき、「神よ!我らに慈悲を・・・!!」と祈り続けるしかありませんでした。
そんなNewtonの願いが聞き入れられたのか、奇跡的に彼らは助かりました。
このときの奇跡的な体験がその後の彼の人生に劇的な影響を与えるきっかけとなり、Newtonは奴隷貿易船の中で、奴隷を労わり人間らしく扱うことに努めるようになりました。
船乗りの期間中にもラテン語を習得したNewtonは、その後もギリシャ語とヘブライ語を習得するなど、勉学意欲が衰えることはありませんでした。
その後、30歳の頃には、Newtonは大病をきかっけに船乗りとなることを諦めました。
この頃までには、いくら奴隷を人間らしく扱うといっても、人を奴隷とみなすこと自体に対する罪の思いがあったのではないでしょうか。
Newtonは、その頃にメソジスト協会の指導者と出会い、後に牧師になることを志すようになります。
実際にNewtonが聖職に就くことが許されたのは、40歳の頃でした。
42歳の頃、Newtonは詩人のWilliam Cowperに出会い、生涯の友となります。
CowperはNewtonが各地で説教を行うのに同行し、Newtonの活動に大きな影響を与えました。
彼らは週の礼拝を開くのみにとどまらず、週ごとに「prayers meeting」を開き、賛美歌を書くことに尽力するようになり、共同で「Olney Hymns」という讃美歌集を作り上げました。
ただし、その中にはこの「Amazing Grace」は収録されていません。
「Amazing Grace」は1770年頃に作られたとされており、週の礼拝で歌い継がれていく中で現在の6番編成となり、後に讃美歌集に収録されることとなりました。
Newtonは45歳の頃にはロンドンのSt. Mary Woolnothの司祭となりました。
そして、奴隷貿易船の船長だった頃の体験やその後の彼自身の経験から得た思いから、奴隷制度がいかに愚かであるかなどについて唱え続けました。
これらの説教は、後に奴隷制廃止論をとなえたWilliam Wilberforceに大きな影響を与えることとなりました。
Newtonは最後には盲目となりましたが、その生涯を終えるまで人々に説教をし、影響を与え続けることを止めなかったのです。
「Amazing Grace」の歌詞には、そんなNewtonの体験から得た思いが反映されています。
Amazing grace! (how sweet the sound)
That sav'd a wretch like me!
I once was lost, but now am found,
Was blind, but now I see.
'Twas grace that taught my heart to fear,
And grace my fears reliev'd;
How precious did that grace appear,
The hour I first believ'd!
Thro' many dangers, toils and snares,
I have already come;
'Tis grace has brought me safe thus far,
And grace will lead me home.
The Lord has promis'd good to me,
His word my hope secures;
He will my shield and portion be,
As long as life endures.
Yes, when this flesh and heart shall fail,
And mortal life shall cease;
I shall possess, within the veil,
A life of joy and peace.
The earth shall soon dissolve like snow,
The sun forbear to shine;
But God, who call'd me here below,
Will be forever mine.
★追伸★
この記事を書くに当たって、いくつかのサイトを参考にさせて頂きました。
中にはリンクを望まれていないと見受けられるサイトがあるため、
全ての出典を載せることを控えることにしました。
お世話になり、大変感謝しています!ありがとうございましたm(_ _)m